9月議会本会議。討論・採決
2017年9月28日(木)あめ・くもり
9月議会の最終日。
本会議での討論・採決になります。
日本共産党市会議員団からは、新火葬場に関する補正予算に対し「修正動議」を行うなど、道理ある態度をとりました。
以下、反対討論(松岡かつひこ市議が行いました)の内容を紹介します(少し「長文」になりますが、お読みください)。
ただいま議題にされております議案のうち、
報告第41号 平成28年度奈良市一般会計歳入歳出決算の認定について、
報告第47号 平成28年度奈良市駐車場事業特別会計歳入歳出決算の認定について、
議案第89号 奈良市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部改正について
議案第90号 奈良市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部改正について
議案第91号 奈良市税条例の一部改正について
以上5件について反対し、議案第86号 平成29年度奈良市一般会計補正予算(第2号)の「修正案」に賛成するとともに、修正部分を除く原案に意見を付して賛成し、残余の議案に賛成します。
以下、理由を述べます。
まず、報告第41号についてです。
今議会に報告されている「決算」は、平成28年度予算を基に執行されたものであります。
日本共産党奈良市会議員団は、市長から提案された平成28年度予算について、「消費税の増税や社会保障の一層の削減を柱とした安倍政権の骨太の方針のもと、市民の暮らしは、ますます大変になっており、奈良市の予算にとって大切なことは、国の悪政の防波堤となり、市民の暮らしを守り、応援する予算になっているかどうかである」と指摘しました。
提案されている決算は、子どもの医療費の対象年齢が拡充され、スクールカウンセラーの増員、自校方式による全中学校での給食など、市民の粘り強い運動と我が党も求めてきた内容が一定実現された面もありますが、一方で、奈良市行財政改革重点取組項目による事業の民間委託や統廃合が促進されました。
いじめ対策に力を入れるとしながら、一方で、市長みずから実績に上げられた少人数学級は、5年生、6年生は40人学級へと大後退させ、年間6万円にもなる通学に要する交通費の自己負担額についての、全額補助を求めましたが、応えようとはしませんでした。
さらに、奈良市ポイント制度との関連で、公衆浴場でのポイント付与は一定改善されているものの、真に入浴券が必要な方への対応は放置されたままですし、高くて払えないと悲鳴が上がっている国民健康保険料の引き下げのための法定外繰入金は、2億円のままでありました。
計画沿線で住民や自治体から、百害あって一利なしと反対運動が起こっているリニア中央新幹線新駅誘致の宣伝や、東アジア文化都市事業や関連事業など、不要不急の事業も目立ちました。
以上述べましたように、我が党は、切実な暮らしや教育の願いに応えるためにこそ、予算を組み執行すべきであったこと指摘し、反対理由とします。
次に報告第47号についてです。
従前より指摘をしてまいりましたが、ホテル日航奈良の地下駐車場は原因者のホテルが設置し、経費も負担すべきものと考えます。
次に議案第89号についてです。
この議案は、市営住宅の管理に関する事務にもマイナンバーを利用できるようにするものです。この間、マイナンバー制度は2016年1月から本格的に運用が始まり、税の手続きなどの際に使えるようにした他、マイナンバーカードが発行されるようになりました。しかし全国でも奈良市でもカードの発行を希望する人は伸びていません。プライバシーの保護や個人情報への市民の不安が広がっていることが要因ではないでしょうか。そもそもマイナンバーは徴税強化と社会保障費抑制の手段にしたい国や財界の都合で導入されたものです。マイナンバーの利用を拡大するのではなく、マイナンバーは中止し、廃止に向け見直しの声を国に対し上げることこそ必要です。
次に議案第90号についてです。
この議案は任期付職員の採用を非専門的職員に拡大するものです。市はその理由として高度化・多様化する住民ニーズへの対応やその時々の行政需要への最適な対応をあげています。
しかし、公務公共サービスを担う職員は、専門的知識や経験・住民との間で築き上げた信頼を発揮し、地域住民の繁栄を目指す立場にあり、市も公務運営は任期の定めのない常勤職員で行うことが基本であることを認めています。公務労働に必要な継続性と安定性を阻害する恐れのある本案には賛成できません。
次に議案第91号についてです。
この議案は国の地方税法の改正にともなうもので、「わがまち特例」により市が考える事業を推進する事業者の固定資産税などを減額することができるようにする内容が含まれています。
この対象は家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、企業誘致型保育事業などです。
家庭的保育事業や企業誘致型保育事業は「子ども子育て支援新制度」で新たに位置づけられたものですが、保育士の配置基準に保育資格を必要とせず、研修のみでよいとされる保育者が含まれている点など保育サービスの低下につながる恐れがあり問題です。
本市の保育所待機児童を解消することは喫緊の課題です。市長も待機児童ゼロを掲げられました。その際大切なことは保育の質が担保された認可保育所の増設と保育士の待遇改善と確保です。
このような立場から本条例改正には反対です。
最後に、議案第86号ついてです。「修正案」に賛成する理由は、先ほどの趣旨説明で述べましたので省略し、修正部分を除く原案についてであります。
補正予算案には、奈良市幼保再編計画をすすめることと関連し、2年以内の待機児童ゼロを目指すとして、民間保育所新設など、全体で280人の受け入れ枠を講じる、緊急的な待機児童対策経費が計上されています。
これ以外にも、待機児童解消の為として、市立幼稚園の空き教室を使って民間保育所の分園を開園する計画があることも明らかになりました。
子ども子育て支援新制度が始まり、対象となる就学前施設の種類が増え、複雑になりました。施設の基準も異なり、入った施設によって受ける保育にも格差が生まれています。
奈良市では国の動きを先取りして、幼保再編計画をすすめ、現在、就学前施設として、市立の幼稚園と保育所、民間(私立)の幼稚園と認可保育所および認可外保育施設、市立の認定こども園、民間(私立)の認定こども園、家庭的保育事業施設、小規模保育事業施設があり、さらに、待機児童対策として、市立幼稚園で活用している園舎の空き教室を使い、民間の認可保育所の分園を新しく開設しようとしています。市内には、国立大学法人の大学付属幼稚園もあります。
保育所の待機児童解消はもちろん急がなければならない重要課題です。
しかし、いま、奈良市がすすめるやり方には、市としてどんな保育をめざしているのかが全く見えません。つまり「哲学なき受け皿づくり」がすすんでいるといえます。保育現場の声を丁寧に聞き取り、保育の質を維持したうえで、待機児童をゼロにしないと、必ずゆがみが生じます。
「子どもの心とからだの発達保障を何より第一」にすることを強く求めるものです。
以上で、討論を終わります。